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ハーディガーディのキー、キーボックス

ハーディガーディの音程はキーという四角柱の棒を押す場所を変えることで操作します。
操作性は少しだけピアノに似ているかもしれません。
キーには弦を押すためのタンジェントという小さな突起を設置しておきます。
このキーを弦に当てることで振動する弦長を変化させて音程を作ります。
私の作るハーディガーディのキーは半音階の平均律ですが、タンジェントは微妙にずらすことができるため、様々な民族的な音階にすることもできます。
キーは強度のある材料で作ります。
今回は黒檀を使いました。

キー

キー製作中

決めたスケール(弦長)からキーを取り付ける場所が自ずと決まってくるので、その位置でキーにつまみを取り付けます。
接着剤だけだと壊れやすいのでダボ打ちします。
写真のようにまとめて取り付けて後で切り離すのが合理的です。
キーボックスはカリン(ローズウッド)で作りました。
あまり動きがない材を使いたいところです。
こちらもスケールから決まった位置にキーをはめ込む四角穴を開けます。
私はボール盤で小さい穴を四角形の四隅に空けておいてから糸鋸で切ります。

キー穴空け

キー用穴空け中

キーを全部はめた状態でキーボックスを組み立てます。
そうしないとキーの動きが悪くなり、調整にたいへん手間取ります。

キーボックス組み立て

キーボックス組み立て

タンジェントは製作家によって色々な形状、取り付け方があります。

タンジェント作り

タンジェント作り

これらをキーにナベ小ネジで取り付けますが、キーを割らないように必要最小限の力で締め付けます。

タンジェント設置

タンジェント設置

本当は写真のように弦を張ってから取り付けます。
ネジを緩めてタンジェントの方向を変えることで微妙にチューニングできます。

バインディング

バインディングは表板や裏板の周辺に巻いてある細長い板のことです。
時には指板やヘッドにも設置することもあります。
特に表板は柔らかい木材を使うことが多いので、設置することで周辺部に事故による割れ止めの効果や湿気の入ることを防ぐ意味があります。また締め付けながら設置するため、音響的にも巻かないときと変化が起こります。
設置するときは横板のカーブに合わせてアイロンで曲げてから接着します。

バインディング曲げ

バインディング曲げ

材にも依りますが、厚さは1.5から2mmくらい、幅は3.5から5mmくらいで作ります。
細長いので曲げるのは比較的容易ですが、調子に乗っていると割れることもあるので注意が必要です。
特に木材の目が斜めに切れてしまっているものは、非常に割れやすいです。

バインディング溝

バインディング溝に合わせます。

バインディングの厚さ、幅と同じか、やや小さく横板との周辺に溝を掘ります。
溝掘りはルーターで一気に行う方法や、毛引きと鑿で行う方法があります。
あらかじめ曲げておいたバインディングを、掘った溝に合わせて修正しながら再度曲げていきます。
接着には膠やフィッシュグルーを使っています。
膠は固まりやすいので手際よく時間をかけずに作業しなければなりません。
フィッシュグルーは設置時間を比較的長くとれるので多少楽です。
接着剤を塗った溝に曲げたバインディングを嵌めたら、数箇所をテープで留めて、それから紐がけします。
紐はゴムバンドでも代用できます。

バインディング紐掛け

バインディング紐掛け