ギターのファンブレース

クラシックギターの製作で音質的に重要な場所はいくつもあり、それらが複合的に効果を出すと考えていますが、そのなかでも表面板の設計はすべての製作家にとって特別に重要と考えられています。
表面板の強度、柔軟性、質量、硬度をもとに厚さが決まりますが、そこに貼り付けるブレースがさらに音に特徴をもたらすようです。
クラシックギターの中でも伝統的に使われているタイプは、アントニオ・トーレスなどが採用している扇形配置です。
このタイプは表面板の下部の膨らみの設計のことで、空に舞う凧の骨組みのようにバランスよくブレースを配置します。

ファンブレース

ファンブレース(扇形配置)


この写真ではブレースの中央部分が一番高く、両サイドに向かってテーパーしてます。
全部同じ高さで、サイドの際だけ高さを下げるやり方(スキャロップ)もあります。
イメージですが、同じ材料で作った場合、前者はより重厚で伸びのある音、後者は反応が早く歯切れがよい音のように感じます。
ブレースの断面形状も角型、三角型、尖頭型があります。作者がどのように計画して設計しているかで変わってきます。
私の場合は角型で接着してから鉋で高さや断面形状を形成していきます。
バイオリン鉋

小さなバイオリン鉋や鑿で削ります。


ファンブレースで使用する木材の性質によって幅、高さをその都度変えて接着するので、決まった大きさではありません。
また私の場合、ファンの数も狙った音質によって5本の場合から9本ほどまで変えます。