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新しく使い始めた木材(桐)

木材の特性を研究していく中で、楽器に最適な品種を見つけたのですが、
短所も同胞するゆえ、その製品化に5年ほどかかってしまいました。
やっと昨年から積極的にその桐材をトップに使った楽器を作ってます。

表面板に欲しい一番の特性は、振動伝達の速さと振動のしやすさです。
桐は木材の中でその両方を圧倒的に兼ね備えています。
使わない手はないと思いました。

琴に使われている材は僕が見た限り、板目に響板を使っているのですが、
ギターやウクレレなら柾目で使いたいところです。
木自体が径の小さいものですので、接ぎに工夫が必要でした。
またその柔らかさも何かと大変なものでもあります。

工房にサンプルギターとウクレレがありますのでお試しください。

ギターのブリッジ2

ブリッジのギターの表面板に接着する面(裏面)を3次曲面に仕上げていくところです。

ブリッジ底面削り

ブリッジ底面削り

スクレーパーを使うと堅木でも楽に削っていけます。
スクレーパーに使う金属板の材質や厚さによって使いやすさ、削りやすさや刃のつけやすさが違いますので、いろいろ試してみると良いかと思います。大き目の板を買ってシャーリングでせん断するとリーズナブルです。

弦の振動を表面板に直接伝える重要な部位です。

楽器に使われる木材について

弦楽器に使われる木材は世界中でだいたい同じ種類のものを用います。
したがって人気があり絶対数が少ない木材は値段が高騰するのは当然です。
そこにまた資源の枯渇や環境破壊への観点から世界での流通のルールが決められております。
そのルールでは徐々に我々弦楽器製作家の使える材が減らされていってます。
今後の製作を考えると、したがってそこには二つの選択肢があると考えられます。
ひとつはお客様に事情を説明して値段を上げさせていただくこと。
もうひとつは、新しい材料を開拓することです。
これからはその二つのやり方を混ぜながら徐々に後者にシフトして製作することになりそうです。
新しい材料の探求、時間はかかると思いますがとてもチャレンジングで楽しみです。

ブレーシングの目的

ブレースを取り付けることで板も強くなります。
したがって表面板をより薄く作ることができます。
薄くした表面板とブレースを追加した重量増加分の兼ね合いもありますが、
弦による張力に対抗する方向にのみ強くする設計をすれば、かなりの重量削減ができます。
重量が減れば慣性が小さくなるため振動させる点、し続ける点で有利になります。
もうひとつの目的は、基音に付属する倍音成分を大きくすることです。
適切なブレースを加えることで、良いギター独特の倍音の効いた音質が得られます。

ハーディーガーディーのヘッド

ヘッドをギターのネック材のシダー(セドロ)とメイプルで作ります。
木ペグを使って調弦するので、シダーだけだと柔らかすぎて穴が広がってしまうため、メイプルで補強します。

ヘッドの荒削り

ヘッドの荒削り


鑿や畦引き鋸で成形していきます。
現代的なハーディーガーディーなので、モダンな感じでシンプルにデザインしました。
木ペグの入るところを下穴を開けておきます。
ヴァイオリンペグを使うのでφ5.5くらいのドリルです。
テーパーリーマ

ヴァイオリンのテーパーリーマです。


上の写真のようにテーパーリーマで少しずつ広げていきます。
刃物が斜めに入っていきやすいのでゆっくり垂直になるよう気をつけます。
ハーディーガーディーヘッド

ほぼ完成したヘッドです。

ギターのブリッジ

ギターのブリッジは将来修理がしやすいように膠(にかわ)で表面板に直接接着します。
ブリッジの飛びが怖いので、ここで使う膠はかなり強力なタイプを使い、強めの力でクランプします。
私のギターは表面板を球面形状に膨らませているので、ブリッジの下部接着面は球面に合わせるように削ります。
3次元形状を出すのはとても厄介ですので、時間をかけて少しずつ鑿や反鉋、羽虫鉋、スクレーパー、サンドペーパーを使い、合わせていきます。
ブリッジの材質はローズウッド、黒檀、ハカランダを主に使っています。
それぞれ、その中でもバネがあって比較的軽い品質の材が欲しいところです。
ブリッジは横向きのブレースの一種としても作用するので、昔ながらの設計で製作する場合は特に柔軟性が大事だと思います。
柔らかさを考慮して全体を少しずつ削りますが、完成したブリッジは大体いつも20グラム前後になります。

ハカランダブリッジ

ハカランダブリッジ製作途中

ギターのネック①

わたしにとってネックはギター製作作業の中で一、二番目を争うくらい神経と労力を使う箇所です。
まさにネックですね。
材料はシダー材を主に使います。といっても表面板に使うシダーとは種類が違いますし、国産の杉とも違います。
ギター製作に使う材は外国産の木材が多く、翻訳途中で誤解を生むような表記になってそのまま定着してしまったものが多いようです。
表面板のほうはレッドシダーというヒノキの仲間です。
マホガニーは密度が程よいものはとても良いですが、わたしの設計だと少し重量オーバーなものが多いので使用頻度は少ないです。
シダーでも密度、柔らかさにばらつきがありますので、薄めのネックを希望された際は補強材を埋め込むこともあります。
補強材は欲しい重量によってカーボンや黒檀などを使います。
ネックのヘッドには横裏板と同じ材の薄板(ヘッドフェイス)を貼ることが多いです。自分の好みではありませんが、装飾のためツキ板をはさんで接着する事もあります。

肝心のサイズですが、目安として0フレットと12フレットでのネック幅、0フレットと9フレットでのネック厚さで表示します。
一般的に幅は0フレットで52mm、12フレットで62mmほど、厚さは0フレットで21~23mm、9フレットで22~25mmほどです。
ここはプレイヤーの好みでかなり変化させます。そのサイズはプレイヤーの手の大きさ、演奏スタイルでかなり変わってきます。
ネックの断面形状も平たいものが好きな方と丸みをもったものが好きな方と分かれるようです。
打ち合わせや製作途中に試奏してもらって決めることもあります。

ギターの横裏板①

クラシックギターではローズウッド系、メイプル系、サイプレス(シープレス)系が主に使われます。
単板で製作する場合、通常裏板(バック)と横板(サイド、リブ)は同じ種類の木が使われます。
設計によっては張り合わせて合板にする場合もあります。

ローズウッドはマメ科の植物で、代表的な使用材はインディアンローズウッド、ホンジュラスローズウッド、マダガスカルローズウッド、ハカランダ(ブラジリアンローズウッド)、アフリカンブラックウッドなどがあります。

メイプルはカエデ属の植物で、ヨーロピアンメイプル、ロックメイプルなどを使いますが、木目(杢)の取り方で呼ばれることもあります。フレイムメイプル、カーリーメイプルは柾目取り、バーズアイメイプル、キルティッドメイプルは板目取りです。

シープレスはイトスギ属で、私はスパニッシュシープレスと呼ばれるものしか知りません。カナディアンシープレスは種類が違うと聞いています。軽く、歯切れが良い音がしやすいので、主にフラメンコギターに使われますが、クラシックギターに使っても面白いです。

これら大まかに分けたそれぞれに木材として特性があり、また個体差もありますので、狙う音質に合わせて種類を選択したり厚さを変えて使います。

 

ギターの表面板 ①

クラシックギターでもっとも使われている表板は各種スプルース、シダーです。
大雑把に情緒的に言うとスプルース系のギターは締まった音質、シダー系のギターは温かい音質と言えると思います。
スプルースはヨーロッパ系(ジャーマンスプルースと言われている材など)は繊維の縦横比が北米系と比べて小さいのが特徴です。
ギターの設計の段階でこれはたいへん重要なポイントになります。
最近(でもないが)流行りのダブルトップのギターは音の反射の関係で外側(表側)に使われている材の音質を持っているように感じます。
また、表板の裏側に接着する各種バーの配置や大きさ、木の種類によって表面板の振動のスピードや反応の大きさをコントロールします。
プレイヤーがどのような音を求めているのかによって、この辺のパラメータを変化させてギターを作っています。
また同じ種類の材料でも一つひとつ個性がありますが、主に比重、弾性、堅さで判断して、厚さ等を決めています。